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暗号通貨の経済学、トークノミクスとは何か?

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Takumi

2024-6-19 0:02

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目次

恐らく暗号通貨に投資をしている方は、ビットコインの価格がいきなり変動する理由や、数円の価値しかない暗号通貨あるのに対し、10万円をこえる物もあるなど疑問に思うことは多いと思います。その答えのほとんどはトークノミクスにあります。法定通貨の価値が経済政策に影響されるのと同じように、暗号通貨には需要と供給をコントロールする「トークノミクス」いうものがあります

トークノミクスとは、Web3プロジェクトにおいて基本的な要素であり、トークンがどのように分配され、流通し、市場で評価されるかを調整するために設定します。トークノミクスを知ることはWeb3プロジェクトの価値を見極めると言った意味でも非常に重要です。

トークノミクスが重要な理由

基本的には、どの暗号通貨の価格も市場の供給と需要に基づいていますが、暗号通貨には独自のルールが組み込まれており、供給、発行、焼却などに関するポリシーをあらかじめプロジェクトレベルで設定することができます。

適切に設計されたトークノミクスは、トークンの需要を一貫して生み出し、供給を希少にすることで、価格を時間とともに増加させます。一方、トークノミクスがよくデザインされていないプロジェクトは、投資者を集めるのに苦労し、トークンの供給が膨らむにつれて価値が低下する可能性があります。

プロジェクト自体はよくても価値が上がらないなんてことはよくみられる例で、極端に言えば、あまり注目を浴びていないプロジェクトでもトークノミクスさえしっかり設計していれば、多大な利益を狙うことも可能です。

トークノミクスの基本的な特徴

トークン供給

アメリカドルなどの強い法定通貨の総流通量が価値とインフレーションに影響を与えるのと同様に、暗号通貨のトークン供給も重要な要因なっています。

例えば、ビットコインのように最大供給量が決まっているプロジェクトもあれば(2,100万BTC)、イーサリアムのように理論上無限の供給を持つプロジェクトもあります。この両極端の間で、多くの暗号通貨は、事前に決められたスケジュールやトークノミクスのインセンティブに基づいてプログラム的に供給を調整します。

こちらの記事にてトークノミクスの調べ方について紹介しています。

トークン分配

トークン供給が存在するコインの総量を表す一方で、分配メカニズムは新しいトークンがどのようにして時間とともに流通するかを決定します。現実世界で言うと、新しい法定通貨が印刷または鋳造される仕組みに似ています。

主要な分配モデルは、トランザクションを検証するために計算能力を提供する者に新しいトークンが報酬として与えられる「マイニング」と、資産をロックアップしてバリデーターとして機能する者に報酬が与えられる「ステーキング」です。また、エアドロップや流動性インセンティブなど、ユニークな分配メカニズムも利用されています。

トークンのバーン(焼却)

一部のトークノミクスモデルには、トークンを永久に「バーン」し、流通から取り除くメカニズムが含まれています。これは基本的に分配の反対であり、トークンの供給を縮小し、その希少性とデフレ特性を高めます。

トークンバーンのレートやメカニズムはプロジェクトによって異なります。例えば、トランザクション手数料の一部がバーンされる場合や、プロトコルが定期的にバーンを実施する場合があります。

小さなプロジェクトでは供給量を見て、バーンすることで希少性を調整することもあります。

トークンの割り当てとベスティング

Web3プロジェクトは通常、トークン供給の一部をチーム、投資家、その他のステークホルダーに割り当てます。多いところでは全トークンの20%ほどを関係者に提供したりします。

しかしすべてのトークンが最初に公開流通されるわけではありません。これらの割り当ては通常、設定された期間にわたってトークンを段階的に解放するベスティングスケジュールに従います。

よくある例ではTGE(トークンリスティング)から6ヶ月は分配されたトークンが売れないようにロックされており、関係者の売却による急落を防ぐ目的があります。

トークンの割り当てとベスティングの詳細を事前にリサーチすることは利益を最大限にするためには必須です。ベスティングなしの保有者からの大量のトークン放出は、市場の供給と価格に影響を与える可能性があります。

ガバナンスモデル

大抵の暗号通貨は、トークン保持者がプロトコルや経済政策に対する提案に投票できるオンチェーンガバナンスモデルを利用しています。これをすることで、時間とともにトークノミクスを調整することを可能にします。

ガバナンス権は保持者にとってのユーティリティを提供し、理論上コミュニティが利益に基づいてプロジェクトの将来の供給、報酬、その他の基本的なルールに直接影響を与えることができます。

暗号通貨のトークノミクスを分析する方法

プロジェクトのトークノミクスをしっかりと評価するには、ホワイトペーパーを参照することが確実な方法です。

注目すべき主要なデータポイント:

  • 総供給量(Total Supply)vs 流通供給量(Circulating Supply):総供給量は存在する(または最終的に存在する)トークンの数を表し、流通供給量は現在市場で出回っているトークンの数を測定します。
  • 時価総額(Market Cap):株式と同様に、価格X流通供給量で計算されます。また、総供給量に基づいた完全希釈時価総額(Fully Diluted Market Cap)も確認します。
  • 供給の発行/バーンレート:新しいトークンがどのように分配されるか、またバーンメカニズムが存在するかどうかを調べ、予想されるトークン供給の増加または減少を把握します。

これらの情報はCoinGeckoやCoinMarketCapでデータをまとめて見ることができますが、必ずプロジェクトの公式コンテンツを確認してください。

トークノミクスの例:ビットコイン

トークノミクスを実際に理解するために、ビットコインを見てみましょう。

  • 供給:ビットコインの最大供給量は2,100万BTCであり、それ以上は作成されません。この希少性が時間とともに需要を生み出します。
  • 分配:新しいBTCは、ブロックチェーン上でトランザクションを検証するための計算をするマイナーに報酬として分配されます。このマイニング報酬は約4年ごとに半減され、発行量を制御します。これが半減イベントと呼ばれます
  • 焼却なし:ビットコインには供給からBTCを永久に削減するプロトコルはありません。
  • 割り当て:ビットコインの創設者や投資家に事前割り当てされたトークンはありません。すべてのBTCはマイニング報酬として分配されてきました。
  • ガバナンス:改善提案はありますが、ビットコインにはそのコアトークノミクスポリシーを変更するための投票ができるガバナンストークンはありません。

このある意味保守的なトークノミクスは、ビットコインの価値を希少化させる助けとなっており、資産としての供給が制御されているため、価値が下がる可能性はかなり少ないです。一方でその他の暗号通貨は、より柔軟でユーティリティ重視のトークノミクスを採用しています。

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